20年くらい前
ちょっと洒落た喫茶店をやっていた。
足掛け8年
いろんなひとが出入りした

毎回毎回、来るたびに
当時まだ市販されていない音楽テープを持ってきて
必ずカウンターの同じ席に
ICEオーレ、勿論冬でも
カメラマンの助手だと言ってた
モデルのムード作りに使うと…
彼が置いていったカセットテープが30数本
押入れを整理してたら出てきた

ICEオーレくん、カメラマンになれたかな

ちょっと南に下がったところに
クロネコさんの集配所があったけど
ウチは佐川さんの溜まり場だった
他の運転手さんと明らかに雰囲気のちがう
物静かで、穏やかで
「ごちそうさま」がやけに上品なひとがひとり

「今日でこの仕事退めるんです」
手渡されたはがきに
<個展○○恭二の翼> と

絵はやめずに続けているかなぁ

絶対に別人なんだけど
唐沢くんに良く似た青年が一時期通ってきてくれた
いつも客の切れる時間帯で
いつもお腹をすかせていた
ほとんど話をしたことがなく
いつも隅のbox席で本を読んでいた
妙に気になる人だったけど
何も聞けないまま
来なくなってしまった

夢見る頃をすぎても
あの音、香り、心のざわつきを思い出させてくれる
忘れ物はまだ手の届くところで
静かに待っていてくれた


だからというわけでは無いんだけど
「君を忘れない」を見て
夜中に唐沢・蜷川の「コリオレイナス」を見た。
ずい分前に読んだ「ふたり」の衝撃がよみがえる。

芝居の他で見せる彼のノリのいい明るさは
生きてゆく為の鎧なのかな
それとももう必要なくなった、
素の、生来の彼の明るさなのかな
後者であって欲しいと今さらに思う。

三谷作品の彼の方が私は好きかも。

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